2016


幼少の記憶は自然とともにある。美しい四季に彩られる秋田では、いつも自然は格好の遊び相手になってくれた。

大人になるに連れ、その記憶や感覚は次第に薄れていく。しかし、秋田に暮らすからこそ、私は無意識に自然への

「既視感」を持ち続けていたように思える。

 

冬の夜、ふ街燈に照らされるを撮影した。写真にらえられたは、一粒ひつぶが静止し、まるで無数の

星のように輝いていた。既視感から解放されたの光景、そこに隠された想像を超える世界に気づいたき、

これまでにない驚き感動を覚えた。

 

それから約7年間、や川など、身近にある故郷の自然を撮り続けている。肉眼を超えた高速シャッターによって、

はまるで生命の根源のような瞬間の造形を現す。無数に輝く一滴は、大いなる循環しての輝きへ続いている。

 

 

「見えないものを視る」写真の力。それは私にって、未知の自然を探る唯一の手段であり、写真表現の原点でもある。